「小娘の産む子や孫なら、おもしろいこと間違い無しじゃからのぉ」

「絹糸・・・」

「小娘、我は・・・」


金色の目が、穏やかに微笑んだ。


「我は、お前に出会えて良かったと思う」



その言葉を聞いて・・・

ぶわっと、涙があふれて一気に頬を流れた。

嬉しい事言わないでよ! もう絹糸ってば!


「最近、涙腺ゆるくて大変なのに! 年かしら!?」

「我に対する嫌味か、それは」


これからも仲良くしようね! 絹糸!

あたしが居なくなるのは、まだまだずっと先の予定だし!

それに・・・

あたしが先に死ぬって決まったわけじゃなし! 


「明日、絹糸が先に死ぬかもしれないんだしさ!」

「不吉な事を上機嫌で言うでないわっ!」

「お互い、いい思い出をたくさんつくろうね! その時のために!」

「・・・何か感動が薄れてしまったのは、気のせいかのぉ・・・」


あたしは絹糸を両手で頭上高く持ち上げた。


「絹糸、大好きだよ!」


夜空に映える、艶やかで美しい毛並み。

金に輝く気高い瞳。


絹糸は、ほっほっと声を上げて笑ってくれた。