姿が見えないのか。

・・・まさかっ!?


「一人で奥方の所へ乗り込んだんじゃないのっ!!?」

「いや、さすがにそれはないだろう」

「うあぁ」


門川君としま子が、揃って首を横に振った。

そ、そう? ちょっと先走りすぎたかな?

でも心配だなぁ・・・。


「あたしも探すよ。しま子も一緒に探してね」

「うあっ」

あたし達は揃って縁側から庭に降りた。


「門川君、屋敷の中は全部探したの?」

「あぁ。でも外を探そうにも、まったく当てが無くて困っていたんだ」

「絹糸がいそうな場所かぁ・・・」


猫が好きな場所ってどこだろ?

屋根の上とか塀の上とか?

あ、車の下も有りだ。

よく近所のノラが、うちの車の下に入り込んでるもんなぁ。

じゃあ、牛車の下も探さないと。


あちこち屋敷の周囲を回って探した。

でも絹糸の姿は無かった。

暗くて探しにくいのもあるけど、これだけ探しても見つからないって事は・・・。

この周辺にはいないのかもしれないなぁ。


でもそうなると、ますますどこを探せばいいのやら。

困ったな。絹糸ったら一体、一人でどこへ・・・。


「あ・・・っ!」

ひょっとしたら・・・!


「天内君? 心当たりがあるのか?」

「あ、うん。もしかしたらだけど・・・」