門川君は立ち上がった。

あたしも立ち上がる。

うん、そうだ。あたし達は先に進まなきゃ。


「みんな、体調はどうだ?」

「もうすっかり大丈夫みたい」

「うがあっ」

「四人同時の回復か。永久よ、腕を上げたのぉ」

「褒めても何もでない。行くぞ」


門川君を先頭に歩き出す。

みんな、何も言わずに歩いた。


あたしは門川君の背中を見ながら、いろんな思いが込み上げてきていた。

みんなも、様々な思いが胸にあるんだろう。

その思いの糸が複雑に絡み合って・・・


だから、とても、言葉にならないんだろう・・・。



権田原に近づくにつれて、現実的な問題も近づいてくる。


結局、お兄さんとの話し合いは成されなかった。

門川内部で、頼れる人はもう誰もいない。


お兄さんの死という、辛い現実。

最後の望みが絶たれたという、悲惨な現実。

その両方に直面して、直視しなければならない。


足取りは速くても、心は重い。

あたしは、小さな溜め息をこっそりと落とした。