神様修行はじめます! 其の二

彼は、強い口調でそう言った。

でも、はいそうですかってわけにはいかない。

彼に抱きかかえられてるのだって、申し訳ないくらいなのに。


「言ったでしょ? 牛がどうなろうと気にしないでって」

「いいから飲め」

「だから、牛が・・・」

「飲め」

「でも・・・」

「これ以上逆らったら、その薬を君の尻に突っ込む」

「飲みます・・・」


彼のセリフに潜んだ凄みにビビッて、あたしは薬を飲み込んだ。


彼の場合、その言動に冗談というものは、一切含まれていない。

本当に冗談抜きで、あたしのパンツをめくりかねない。


「安全な場所まで急ぐぞ」

彼は無表情のままで、そう言って足を速めた。


庵を出て、さらに先を急ぐ。

抜け道の入り口を目指して。

小人さん達も、一緒について来てくれていた。


無事に抜け道までたどり着き、ひとつ、息をつく。

そして縄ハシゴを急いで降りた。


上を見上げると、小人さん達が、入り口を草木で隠してくれているのが見えた。


「ありがとう、みんな」

また会おうね。