「それでは帰るぞ。しま子も来い」
「うあぁ・・・」
目を閉じたしま子が、両手を前に出してふらふらしながら歩いてくる。
「しま子、僕の肩につかまれ。絹糸はしま子に抱えてもらえ」
「我の心配など無用じゃ」
「やせ我慢をするな」
「ふん。どっちが」
「なら好きにしろ。・・・行くぞ」
あたしを抱きかかえた門川君が、歩き出す。
しま子も絹糸も、みんな揃って。
・・・秋風をひとり残して。
部屋を出る時、門川君が立ち止まった。
そして振り返る。
お兄さんのミイラ。
その前でうずくまる秋風。
ロウソクの頼りない灯りに照らされ、そこだけが異空間のように見える。
それを見る門川君の、哀愁を帯びた瞳の色。
「・・・・・・・」
そして彼は振り切るように部屋を出て行った。
「うあぁ・・・」
目を閉じたしま子が、両手を前に出してふらふらしながら歩いてくる。
「しま子、僕の肩につかまれ。絹糸はしま子に抱えてもらえ」
「我の心配など無用じゃ」
「やせ我慢をするな」
「ふん。どっちが」
「なら好きにしろ。・・・行くぞ」
あたしを抱きかかえた門川君が、歩き出す。
しま子も絹糸も、みんな揃って。
・・・秋風をひとり残して。
部屋を出る時、門川君が立ち止まった。
そして振り返る。
お兄さんのミイラ。
その前でうずくまる秋風。
ロウソクの頼りない灯りに照らされ、そこだけが異空間のように見える。
それを見る門川君の、哀愁を帯びた瞳の色。
「・・・・・・・」
そして彼は振り切るように部屋を出て行った。


