薄暗い部屋に、秋風の慟哭が続く。

この人は、今までずっと慟哭し続けてきたんだ。

悔やみ続けて、自分を責め続け、苦しみ続けてきた。


その間お兄さんから、きっと片時も離れずに。


生涯、苦しみ続けるのだろうか。

自分を責めて、泣き続けるのだろうか。

この部屋の中から一歩も出ずに。


そうして自分を罰し続けるのだろうか。



「永継は・・・死んだのじゃ」

絹糸が、麻痺した体を支えてやっとのことで立ち上がった。


「もう、ここにはおらぬ。それは永継ではない」

ふらふらと歩いて、すすり泣く秋風の側に近づいて行く。


「永継の遺体でしかないのじゃ」


絹糸は、お兄さんのミイラを見上げた。

しばらくの間、じっと見つめ続け・・・

そしてまた、ふらふらとこちらに向かって歩き出した。


「そのまま遺体に仕え続けるも良し。だが・・・」


絹糸は、小さくぽつりとつぶやいた。


「同じ過ちは・・・繰り返すなよ」