絹糸はあたしの腕の中で暴れた。

毛がざわめき逆立っている。

ギラギラした目で、秋風と名乗った女の人を睨みつけていた。


「お前は、永継の父親に頼まれたはずじゃっ!!」


暴れながら叫び続ける。


「死地に赴く父親から頼まれたはずじゃ!『永継を守ってくれ』と!」


押さえ込むのが困難なほど、絹糸は完全に逆上していた。


「これがお前の『守る』か!?」

「・・・黙れっ!!」


秋風も、負けじと大声で叫んだ。


「永継様は・・・生きるのだ!!」

ぎょろりと大きく開いた両目で、絹糸を見下ろす。


「奥方様は言った! 『永継は生きる』と!!』