怒りと、悲しみと。

逆上と、涙と。


入り混じってぐちゃぐちゃになって、体中を渦巻く。

駆け上って頭のてっぺんまで上がって、暴発しそうだった。


血が、ふつふつと沸く。

あまりの激情に、天内の力が発動しかけている。

だめだ・・・!

落ち着け! 今ここで発動したら・・・!


あたしは、両腕で自分の体をギュウッと抱きしめ、必死に激情に耐えた。


「この・・・愚か者どもがああぁ!!」


絹糸の絶叫が響いた。

驚いて声の方を向く。


絹糸の目が、黄金色に爛々と輝いていた。

鋭く尖り、変貌していく。

体中の毛が、宝石の糸のように艶を帯び、光を放つ。


・・・変化しかけている!!?

だめっ! 絹糸っ!!

ここで変化しちゃだめだよっ!!


あたしは慌てて駆け寄り、絹糸を抱き上げた。

ぎゅっと抱きしめ、大声で叫ぶ。

「だめだよ絹糸! こらえてっ!!」