神様修行はじめます! 其の二

抜け道? そんなのがあったの?


「わたくしの父が、永世様のために独断で作った抜け道ですわ」


「こんなものがあったとはのぉ・・・」


「門川に知らせると許可申請が面倒ですから、こっそり秘密で作りましたの」


秘密の抜け道か・・・。


絹糸も知らなかったんなら、きっと他の誰も知らないはず。


ここの出入り口はマークされてないって事だ。


気付かれずに入り込める。


「永久様、どうかご無事で・・・」

「ありがとう、岩さん」

「我が子よ、行ってくるからのぉ」

「にー、にー」


絹糸を抱えたしま子が、一番に降りる。

次に、門川君。

あたしは最後だ。


ハシゴをつかみ、足をかけ、ゆっくりと降り始める。


床と頭が同じラインになった時、お岩さんのドレスが目の前に見えた。


あたしは顔を上げた。


「これは命令よ、生きて帰ってらっしゃい」

「・・・・・」

「あなたとの決着は、まだ着いてなくってよ。いいわね?」

「・・・うん」


あたしは、ほんの少しだけ微笑んだ。

そしてハシゴを降りていった。