セバスチャンさん。

お岩さんを守る事を、自分の成すべき事と定めた人。


この人も・・・分かってくれているのだろうか。

あたしの心の内を。


包み込まれるようなその瞳の色。言葉の響き。

あたしの心は、少しだけ落ち着いた。



「それと、ジュエル様からの伝言がございます」

「伝言って・・・」


自分で言えばいいじゃないのよ。ここにいるんだから。


あきれ顔のあたしに、セバスチャンさんがニッコリ笑った。


「『誰かひとりでも欠けたら、それはあんたの全責任。問答無用で、あたしがそう決めたから』」

「・・・・・」


「『全員無事に帰って来なかったら、容赦しない』だそうでございます」

「はぁ・・・」


「それとこれは、ジュエル様お手製のお弁当でございます」


そう言って、あたしに包みを手渡した。

重箱と、水筒を。


・・・・・。

まさかレジャーシートまで用意してないでしょうね?

運動会か、まったく。


「梅干おにぎりと紅茶でございます」

「梅干おにぎり?」

「はい。なんでも、絶対に梅干おにぎりでなくてはならないそうでして」

「・・・・・・・」