「一時間でも二時間でも、泣いていいぞ。ちっとも恥ずかしい事でねぇからな」
当主さんの、大きくてゴツゴツの手。
痛いくらいの無骨な手。
その手で、何度も何度も頭をなでられた。
土と草の匂いがする・・・。
それと、お日様の匂いが。
当主さんは、永世おばあ様の写真を見た。
「どんなに辛くても、どんなに悲しくても・・・」
そう、何度も何度も小さくつぶやく。
あぁ・・・そうか。
さっき廊下で聞いた声は、これだったんだ。
当主さんが、おばあ様の写真を見ながら語りかけていたんだ。
そして、自分自身に語りかけていたんだ。
当主さんは梅干おにぎりに齧りついた。
がつがつって音が聞こえそうなくらい、勢い良く食べた。
食べ終えて、こぶしでグイッと口元をぬぐう。
そして当主さんは立ち上がった。
強い意志の光をたたえた目で。
「嬢ちゃん、オラ行くよ」
「当主さん・・・」
「やらねばなんねぇ事が山積みだからなぁ」
そう言って、当主さんは部屋から出て行った。
のっそりと、ゆっくりと。
でも確実な足取りで。
当主さんは、歩き出したんだ。
種から出た芽が、固い土を押し上げて、空を見ようとするように。
当主さんの、大きくてゴツゴツの手。
痛いくらいの無骨な手。
その手で、何度も何度も頭をなでられた。
土と草の匂いがする・・・。
それと、お日様の匂いが。
当主さんは、永世おばあ様の写真を見た。
「どんなに辛くても、どんなに悲しくても・・・」
そう、何度も何度も小さくつぶやく。
あぁ・・・そうか。
さっき廊下で聞いた声は、これだったんだ。
当主さんが、おばあ様の写真を見ながら語りかけていたんだ。
そして、自分自身に語りかけていたんだ。
当主さんは梅干おにぎりに齧りついた。
がつがつって音が聞こえそうなくらい、勢い良く食べた。
食べ終えて、こぶしでグイッと口元をぬぐう。
そして当主さんは立ち上がった。
強い意志の光をたたえた目で。
「嬢ちゃん、オラ行くよ」
「当主さん・・・」
「やらねばなんねぇ事が山積みだからなぁ」
そう言って、当主さんは部屋から出て行った。
のっそりと、ゆっくりと。
でも確実な足取りで。
当主さんは、歩き出したんだ。
種から出た芽が、固い土を押し上げて、空を見ようとするように。


