神様修行はじめます! 其の二

自分が情けなくて情けなくて。

いっそ憎らしいほどで。

涙が止まらなかった。


次から次へとあふれてきて、頬を伝って、アゴの先からボタボタ落ちた。


「うー、うぅー・・・」

「そーかそーか。泣くほどうめえか?」

「ううー・・・うっ、うっ・・・」

「嬢ちゃんも梅干おにぎり好きか?」


梅干おにぎり?

これ、梅干おにぎりなの?

あたしのじー様が大好きだった、梅干おにぎり。


「永世様の大好物でなぁ。いつも、この梅干おにぎりを食べてたよ」

「い・・・つも・・・?」

「あぁ、いつもな」



いつも、いつも・・・。

どんな時も。

この梅干おにぎりを食べていた。


明日、ご自分の結婚式だって日も。


陣痛が始まった時も。


ご両親が亡くなった時も。


旦那さんが異形のモノに殺された時も。


戦いに行った一人息子が、ついに還らなかった時も。


いつもいつも食べていた。