神様修行はじめます! 其の二

やがて、男の悲鳴が聞こえなくなった。


火、消えたのっ!?

まさか、もう死んで・・・!?


―― バサアッ・・・!


いきなりカーテンが宙に踊った。

あたしの上半身を覆い、視界を奪う。


しまった・・・!


急いでカーテンを体から剥ぎ取る。

開けた視界の前に、男がいた。


焼け焦げた全身。

赤い肉と黒いススで染まった顔。


人とは思えない凄惨な表情で、男は手に持ったナイフをあたしに向かって振り上げた。


・・・・・!!

だめだ、避けきれない!

刺されるっっ!!


思わず両目をつぶり身を固くする。


― ガシャ―――ン!! ―


固い物が割れる音が響いた。


・・・・・え?


ゆっくり両目を開けると、お岩さんがあたしの隣に立っていた。

すごい目で床を見ている。


床の上には・・・

つぼの破片と、倒れて動かない男の姿があった。


お岩さん! 助けてくれたんだ!