・・・・・!
あたしは反射的に、男の懐に飛び込んだ。
男の手首とわきの下をつかむ。
相手のスピードと勢いを利用し、弧を描くように放り投げた。
男はドサリと床に落ち、転がった。
そして、まだ勢いの残っていた炎の中に、運悪く突っ込んでしまった。
あっと思った瞬間、男の体に火が燃え移る。
その火は瞬く間に全身に移り、覆い尽くした。
「うわあぁぁ・・・っ!!」
赤い炎に舐め尽され、男は絶叫する。
死に物狂いで床を転がった。
でも炎は、まったく消える様子が無い。
「助けて・・・助けてくれえぇぇ!!」
嗅いだ事の無い、嫌な匂いがしてきた。
断末魔の悲鳴。
暴れもがく両の手足。
男の目が、あたしを見た。
そして右手を伸ばし、救いを求めてきた。
あたしに。


