神様修行はじめます! 其の二

男は、薄ら笑いを浮かべてお岩さんに詰め寄った。


お岩さんは目を見開き、後ずさる。


「一族全員、お前の家族も同然だろう?」

「・・・・・・・」


「自分勝手な恋情のために、家族全員を見殺しにするのか?」

「・・・・・・・」


「赤子も年寄りも、お前の親しい友も、全員、皆殺しになるぞ」


呆然とするお岩さんの目から、涙がこぼれ落ちた。


「決断しろ。お前の胸ひとつに全員の命がかかっている」



お岩さん・・・!


ひどい。ひどすぎる!

こんなやり方最低だっ!


人の心を追いつめて、逃げ場の無い場所に追い込んで!

じわじわと、なぶって楽しんでる!



・・・・・。

門川君・・・・・。


あたしは門川君の様子をうかがった。

彼は、いま何を思っているんだろう。


命懸けで守り続けてきた門川から、その名を奪われた。

そして、処刑を宣告されてしまった。

そのうえ、自分をかくまってくれた一族の最大の危機。