死に物狂いで呼吸をしようと口を開けた。

口からは、無様な音の漏れる音がした。

ほんのわずかな空気も、ノドには入らなかった。


あぁ・・・もう・・・

門川、君・・・

門・・・・・



「小娘っ!!」


その時、神獣の姿の絹糸が飛び込んできた!


唸り声と共に刺客に襲い掛かる。

絹糸の鋭い牙が、またたく間に刺客のノドを切り裂いた。


飛び散る鮮血。

音も無く崩れ落ちる体。


声を出す間もなく

目を見開いたまま

それは、あっけないほどに・・・


あたしを殺そうとした刺客は、絶命した。



「小娘っ、無事かっ!?」

「・・・・・・・」


あたしは呆然と目の前の死体を見ていた。

異形のモノ以外の、まぎれもない『人間』の死を。


ついさっきまで、生きていた人間。

ここで生きていた人間。

それが、死んでいる。