そして、一番最初に、その異変に気がついたのは絹糸だった。


「何じゃ? この臭いは・・・」


怪訝そうな表情で、歩きながら鼻をヒクつかせている。


臭い? なにか臭うの?

あたしは何も臭わないけど?


そのうちに子猫ちゃんも鼻をヒクつかせ始めた。


? 臭う? うーん・・・?


歩き進んでいるうちに、今度はしま子が唸り始めた。


みんないったいどうしたの?


「・・・小娘」

「なに?」

「急げ! 権田原の屋敷じゃっ!」


絹糸の声を合図のように、皆が一斉に走り出した!


なに!? どうしたっていうのよっ!?

ちょっと待ってみんな!!


慌てて後を追って走り出したあたしに、絹糸が叫んだ。


「屋敷が燃える臭いがするっ!」

「・・・えぇっ!!?」

「それだけではない! これは・・・人の血の臭いじゃ!」

「血・・・!?」

「おびただしい血の臭いじゃ!」