皆が振り返ってあたしを見た。

門川君が、ひときわ強い視線を浴びせてくる。

その視線に、ひるんでしまいそうになった。

でも・・・


ひるんでいられない。

負けていられない。

ここで自分の考えを言わなきゃ、いつ言うの?


あたしはゴクリとツバを飲み込み、意を決して話し続けた。



奥方は、本気で門川君を殺す気だ。


奥方にとって門川君は、絶対に生かしておいてはならない存在なんだ。


だからきっと、どこまでも追ってくる。


どんなにあたし達が逃げても逃げても。

あの女は、門川君が死ぬまで決して諦めない。


それなら、身を守るために戦うべきだ。

討ってしまうかどうかは別にしても。


とにかく戦って自分自身を守るべきだ。


あたしだって、門川を滅ぼしたいわけじゃない。

でも・・・


門川は、もう、変わらなければダメだと思う。


門川君や絹糸の事情が、当然のように、まかり通ってしまっている門川は。