・・・あたしだって。

あたしだって知ってるつもりだ。

門川君の、氷の中の真心は。


彼は、ただ冷たいだけの人じゃない。

本当は優しい人なんだって、知った。


・・・知ってるつもりだった。


でも・・・でも。


『言葉』って、ものすごい威力を持っている。


ただの音の集まりじゃないんだ。

信じられない力を秘めている。

言葉ひとつで、全てを破壊しかねないほどの力を。


言わなかった言葉が

言えなかった言葉が

言ってしまった言葉が


それまで積み重ねた全てを破壊する事もある。


それほどの威力のあるものを、言霊師である彼が、意識と自覚を持って放つ。


・・・抗える人なんていない。

あっさり受け流せる人なんていない。


どんな固く決意した事も、一瞬で儚く消えてしまいそうになる。


彼の為にと思うことも、彼への熱い想いも。


強ければ強いほどに、傷付けられた反動は大きくて・・・

辛すぎて・・・


怖気づいて逃げ出したくなる。