神様修行はじめます! 其の二

「ねぇセバスチャンさん」

「はい?」

「お岩さんとケンカする事って無いんですか?」

「ございません」


絶対服従なの?

いくら役目と割り切ってても、ムカつく事もあるでしょう?


あの人の相手は、そりゃいかにも大変そうだし。


親からもらった名前も名乗る事を許してもらえない。


けっこう、横暴だと思うけど。


「じゃあ、ひどい仕打ちや暴言を、どうやって克服してるんですか?」


あたしはセバスチャンさんを真剣に見上げた。


教えて欲しい。

傷つく事は無いんですか?

苦しむ事は無いんですか?


どうすれば、この痛みを克服できますか?


「お願いです。教えてください」

「・・・・・」


セバスチャンさんは、あたしの視線を受け止めた。

あたしは真っ直ぐ見つめ続ける。


キツイ印象を受けるほどの、整った目鼻立ち。

細身だけど、しっかりした体格。

門川君よりも大きい、大人の手。