神様修行はじめます! 其の二

「絹糸様も、長い年月を人間と共に戦いました。だいぶ人間にも親しんだようですが・・・」


無理も無い。

こんなひどい仕打ちをされてたんじゃ。

割り切れない感情があって当然だ。


それでも絹糸は、あたし達と一緒にいてくれてる。


子どもを奪い返して、門川に復讐する事だって、今では可能なのに。


共に戦った人間達に対しての敬意を持っているんだ。ちゃんと。


神獣としての品格みたいなものだ。


えらいなぁ絹糸は。

腐れ根性と違って。


「絹糸って名前は、捕まった時に付けられたんですね」


「いえ、それは違うようです」


「え?」


「絹糸様は、名付けだけは、誇りにかけて拒絶なさったようです」


「じゃあ、名前はいつ?」


「わたくしめも、それは存じません」


誰に付けられたんだろう?

ひょっとして永世おばあ様かな?


「名付けは、絆でもあるのですよ」


絆か・・・。


あたしは、しま子を見た。

権田原家の牛たちに囲まれてる。


「ンモオォ~~」「うあぁ、うあ」


・・・どうやら会話しているみたい。


あたしが名付けた、しま子。

心が、ほっこりした。