カマドには、鉄釜がずっぽり収まってて。


赤々とした火。もうもうと立つ湯気。


イロリに火箸。上からぶら下がる鉄瓶。


今の日本では、特別な場所に行かなければ見られない物が、当たり前にそこで息づいていた。



畳と板張りの部屋をいくつも越えて、襖で仕切ってある客間に着いた。


畳の上に、もう布団が敷いてある。

その上に門川君を寝かせる。


柔らかい布団の上に横になる姿を見ると、それだけで少し安心した。


さぁ門川君、お布団だよ。

やっとゆっくり休めるね。

お願い、早く元気になって・・・。


あたしは両手を胸の前に組み、祈った。



「永久様、お待たせしました」


しばらくして、お岩さんが部屋に入ってきた。

その腕の中には・・・


ものっっすごく可愛い子猫が抱かれていた!


真っ白でふわっふわの毛。

純白のモコモコな毛糸玉みたい!

クルッとした、まん丸な金色の目。

ちいちゃな、短かい足。


子猫が、じたばた暴れてお岩さんの腕から飛び出した。

そして、一目散に絹糸の元へ駆け寄る。


「我が子よ、元気でおったか?」

「みー、みーっ」


・・・・・!!


我が子っ!?

我が子って・・・あっ!

以前に聞いた、絹糸が産んだ子って・・・!


「小娘、会わせる約束をしたじゃろう。これが我が子じゃ」

「みーっ、みーっ」