遠縁の敷地内に到着した時には、もうすっかり日が昇ってしまっていた。


歩き通しで、足がジンジン痛む。

ふくらはぎが棒みたいにパンパンだ。

心底疲れた・・・。



門川君は、あれから一度も目を覚まさなかった。

明るい陽射しの下で、改めて彼の顔を見る。


すっかり青ざめてしまってる。

青い、というよりも紙のように白い。

ぐったりした全身から、完全に力が抜けてしまっている。


どんどん悪化してる気がする。

彼の様子を確認するたび、あたしの焦りは大きくなった。

不安が膨らんでしょうがない。



「ここまで来ればもう大丈夫じゃ」

「着いたのっ?」


やっと着いた! これで彼を治療できる!

あ、でも・・・。


あたしは歩きながら、こっそり周囲を伺う。


遠縁だからって、絹糸は信頼してるみたいだけど・・・。

念のため、用心したほうがいい。


警戒しながら見渡すあたしの目に映った光景は・・・



絵に描いたような、呆れるほどに見事な田園風景だった。