向かってくる白猫にウルーは振り向くと、ぐあ、っと口を開いた。
白猫は避けようとするが、大きな狼を避けきることはできなかった。
ツキは壁にもたれたまま、白猫を目で追った。
そしてツキは驚いた。
(え…?)
それは白猫の目は恐怖にも、殺意にも染まってはなく、悲しさに染まっていたから。
でも次の瞬間、白猫はウルーによって弾きとばされた。
そのまま宙をまった白猫の体は壁に激突して、地面に落ちた。
あたりはしん…と静寂につつまれた。
あの悲しそうな目は何だったんだろう?
本当は悪いコじゃなかったんじゃ…?
ツキの中で疑問がぐるぐると回りだした。
しかし考えを中断するように、ウルーの足音が当たりの静寂を破った。
ツキははっとウルーのほうを見た。
威圧のようなものを感じ、ツキは動けなくなった。
ウルーはそれを見て、辛そうに口を歪めた。
『バケモノだと、思うだろう?』
ツキはその言葉に、痛みを感じた。
私を助けにきてくれた、大事な、大切な存在のウルーを傷つけてしまった。
優しいウルーが私を傷つけるわけないのに。
『ハーフだって…嘘もついてしまったしなツキ…俺は 』
「違うよ…違う」
ツキは必死に首を振り、よろよろ立ち上がるとウルーの巨大な前足にしがみついた。
「怖いなんて、思ってない嘘は…嫌だけど、 嫌いになんてなってない」
ツキはウルーの瞳を見詰めた。
「私は、ウルーと居たいよ…」
自然と目から涙がこぼれ落ちた。

