夏の日差しと狼のいろ。



少女の耳では何を言っているのかはわからなかったが遠吠えが聞こえた。


少女はあたりをきょろきょろ見渡した。

大人達が小さく言った。

「コイツの仲間か? コイツもろとも毛皮にしてやる!」


少女は危険を感じた。



―大人達は殺る気だ。


少女は身体をひねって立ち上がろうとした。



しかし「まずはお前だ」と大人達は少女に銃を向け、引き金を躊躇なく引いた。


一発の銃は脇腹をつらぬいた。
もう一発は更に右足をつらぬく。


激しい痛みに少女はのたうちまわった。


血の気がうせ、痛みで目が虚ろになってゆく。



大人が少女のこめかみに銃を当てた。



 (私…死ぬ…んだ…)


そう思い身構えた。








 ―ドシュッ










 (……?)
銃の衝撃はいつまでも伝わってこない。


少女は生きていた。

きえかかる意識の中、何かを切り裂くような音が響いていた。