サンドルが、チッと舌打ちするのが
耳に届いたが
ツキは決してサンドルの
ほうを向かなかった。
また金縛りをされたら困る。
「私あれから溺れて流されていって
…それから、あの人に助けて
もらって…」
ツキは一旦、言葉を切った。
「いい人だと思ったら、違ったの。
…あの人も狼で…それから…」
ツキは口ごもった。
言いたくない。
キスされて薬を飲まされたなんて。
ツキは途端に悲しいような
悔しいような気分になり
感情の波が押し寄せてくる感じがした。
「…ツ、ツキさん!?」
不意にアルが
びっくりした声をあげた。
それでツキは
ようやく自分が泣いているのが
わかった。

