「……痛っ」
ツキはぎゅ、と目をつむって
牙が離れるのを待った。
鋭い痛みはじわじわと
よくわからない感覚になって
ツキはさらに意識が
薄れていくのを感じた。
サンドルは一度
大きく血を吸い上げ、
ツキがびくりと震えたあと
口を離した。
首筋から血が伝う。
傷口はジクジクと痛み、
ツキは涙ぐんだ。
「これで、俺の勝ちか
残念だったな?」
サンドルは血のついた口もとを
服の袖で拭うと
ポケットからナイフを
取り出した。
「ワリィな、小娘
お前はもう用済みだ…」
用済み…?
ツキはその言葉で
はっとした。
(川に私を落としたのは
サンドルだったの…!?)
血を吸うために?
ツキはまわらない頭を
懸命に動かして
そう考えた。
そうしてる間にも
ナイフをもったサンドルが
迫ってきた。
「じゃあなー……雪狼の
小さな、ボスさん?」
サンドルがナイフを、
振り下ろそうと構えたー…

