「しょうがねぇな」
男はまだ水に浸かっていた足を
川から引き上げ
それから
顔をツキに近づけた。
「抱え上げる。
…しっかりつかまらねぇと
落ちても知らねぇぞ」
え、とツキが 聞き返す前に
体は軽々 中に浮いていた。
ウルーよりも
身長が高いみたいだ。
ウルーに抱え上げられた
ときよりも高い。
ツキはいわれるがままに
弱々しく男に掴まり
じっとしていた。
男に抱えられゆらゆら、
知らない景色の中を見ながら。
男からは、
何だか獣みたいなニオイがした。
一瞬、ツキは
この人も自分達と
同じなんじゃないかと思ったが
今のこの状態では
確認しようもない。
ツキはやっぱりおとなしく
今はじっとしていることにした。
「……」
しばらくすると、
小さな小屋が見えた。

