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…ちゃぷん…
ツキははっと目を見開いた。
確かにあのあと、
双子達の家で
眠ったはずなのに…
夢だ、と思おうにも
いつもと違う。
いつものような暗闇ではなく
辺りは一面雪で、
それが夕日で真っ赤に
染まっているのだ。
呆然とするほどに広い、
その丘にツキは立っていた。
『どこなのここ…』
ツキの呟く声は、
凛と響いて景色に溶けた。
『……!』
真っ赤に染まる夕日の中で
二匹の獣が見える。
狼だ。
銀色の毛並みをした狼と、
黒色の毛並みをした狼。
二匹は同時に振り向いた。
赤い瞳をした黒狼とー…
…ウルー?
『ウルー!どこ行くのっ!?』
ツキは叫んで駆け出すが
雪に足をとられて上手く走れない。
早く、早く行かなきゃ。
ウルーが居なくなってしまう、
そんな気がした。
『ウルー…っ』
ツキは泣きそうになった。
赤い瞳の狼が
ウルーをそっとつつく。
何かを合図するみたいに。
ウルーはゆっくりと体をこちらに
向け、言った。
『さよならだ、ツキ。』
銀色の毛は夕日色に染まっている。
時が、とまったと思うくらい
ツキは固まった。
さよなら、って…?
ウルーは再び向こうを向くと
ゆっくりゆっくり、
歩いて行く。
『行かないでよ!ウルー! 』
声は届かないみたいに、
ウルーの背中は遠ざかって。
『ウルーーーーーーーッ!!!』

