夏の日差しと狼のいろ。




 「鍵?力?」

 わからないことが多すぎて
 ツキは首をかしげる。

 するとミリシアが
 微笑んで言う。

 「その小箱、開かないでしょ?

  それにツキちゃんは
  雪狼なのに、それらしい力は
  使えないでしょ?


  すべて手に入れれば
  ツキちゃんは子供のころ
  人間に邪魔されて


  目覚めることのできなかった力を
  目覚めさせられるのよ」




 そう、締めくくると
 ミリシアは微笑み、

 近くのイスに腰掛けた。



 ミリシアの話は
 これで終わりみたいだ。




 「そっか…」



 なんとなく理解できたツキは
 じっとペンダントを見つめる。


 (私の…力?)


 ツキはアルと闘ったときの
 ことを思い出していた。



 昨日の夢に出てきた"ジブン"は

 あの時のツキにそっくりで

 力も使えて…




 記憶はあやふやで
 何があって力を使えたのか

 覚えていない。




 ツキがうんうん唸っていると
 リルが口を開いた。




 「…姫、気をつけて」



 心配するような眼差し。

 リルはそっと続ける。



 「力の使い方…気をつけないと
  昨日みたく、倒れるよ…」



 ぴん、とツキの中で
 理解された。


 リルはこのことを
 ウルーに言いたくなかったのだと。





 ひどくしょんぼりしたリルは
 今更ながら

 さっきの態度にたいして
 申し訳なさそうだった。






 「大丈夫だよ、リルちゃん

  皆、怒ってないから」




 やわらかく頭を撫でてあげると
 ちょっとくすぐったそうに笑い
 リルははにかんだように微笑む。




 「じゃあ、部屋にもどろっか」




 ようやく一段落し

 ツキたちはさっきの部屋に
 戻ることにした。