夏の日差しと狼のいろ。




 ーー…


  …





 気がつくとツキは
 さっき意識を失った水中あたりで
 ふわふわ浮かんでいた。


 さっきとは違うのは
 息ができること。

 顔の周りは何か不思議な
 青色のベールに包まれている。


 意識もハッキリとしてきた
 ツキは
 チャンスだとばかりに
 水面に向かっていった。


 さっきはあっけなく
 溺れてしまったが、
 息ができると思うと
 恐怖はまったくない。



 あっというまに
 ツキは水面に顔を出すと、
 荒れる波をかきわけて
 リルの乗るゴンドラを探した。





 相変わらず雨は
 降り続き、
 見晴らしはとても悪い。


 ざあざあと雨が降り続き
 町もまったく見えない。

 見つかるどころか
 帰れない気さえした。

 「……」




 もう、見つからないと
 しょんぼりと諦めかけていたころ


 前方に何か、
 銀色に光るものが見え、
 こっちに向かってきていた。


 「何…?あれ…」



 それがだいぶ近づいたころ
 ツキはやっとその正体がわかる。



 「ウルー!?」



 それは狼の姿になった
 巨大な銀色に輝くウルーの
 姿だった。



 口にはしっかりと
 リルの牢屋をくわえ
 真っすぐに、

 あっというまにツキの傍へ来た。



 あまりにも巨大なその姿では
 荒れ狂う波など
 造作もないのかもしれない。




 ーウルー、すごいなぁ…



 ツキがぽかんと見ていると
 ウルーは尻尾をふわりと
 ツキのほうへ向けた。



 『大丈夫か?ツキ
  俺に捕まってろ』

  「大丈夫だよ、ありがと」


 ツキは尻尾につかまり、
 よじよじと
 ウルーの背に乗る。


 (ウルー、あったかい)


 ウルーの体は
 温かく、冷えたツキの体に
 心地よかった。