Yシャツのボタンを閉めるのでさえ面倒と感じてしまう。 中学のときならセーラーだったからスカーフ結ぶだけでよかったのに…。 ベストを着て、藍色のネクタイをつけて、準備完了。 髪をかるくとかす。 杏里はもともとの髪質に救われたと思った。 ちょっととかすだけですぐサラサラにもどる黒い髪。 「いってきます!」 玄関の扉をいきおいよく開けて外へ出た。 杏里の家から学校までは近くない。 だから、今日はやばいのだ。