次に目が覚めた時にも、まだ、ママがいた。

わたしのロッキングチェアに座って、雑誌を読んでいる。



いつの間にか、点滴の他、酸素マスクまで付けられていて、そのせいか、身体は随分楽になっていた。



「陽菜」



特に動いた訳じゃないのに、ママはすぐにわたしが起きたことに気がついて、ベッドサイドに来てくれた。



わたしとは、あんまり似ていないキリッとした美人のママ。

背だって、わたしより10センチ以上高いし、髪もストレート。



「具合、どう?」

「……ん。大分、いいみたい」

「そう。よかった!」



ママは少し首を傾げて、どうしようかなって感じでわたしを見てから、わたしのベッドに腰掛けた。



「あのさ」

「ん。なぁに?」



ママはまた、どうしようかなって感じで、わたしを見る。

珍しく歯切れが悪い。

いつも、言いたいことをズバズバ言う人なのに。



「どうしたの、ママ?」



そう聞くと、ママは何かを決めたように、ニコリと笑みをみせた。



「陽菜、なにか、悩んでない?」