話を一通り聞いた後、志穂は言った。
「ああ、なるほどね」
やめてくれよ。
なに、納得してんの!?
「ま、確かに、羽鳥先輩、カッコ良いしね」
ちょっと、待て!!
志穂、おまえ、どっちの味方だよ!?
「なあ、ところで、羽鳥先輩って、誰?」
斎藤が口を挟む。
「図書委員の2年の先輩。
学年トップの成績で、クールな感じのイケメンだよ」
「そんな人と、牧村の間に、どんな接点あんの?」
そう!!
それ! オレも聞きたかった!!
「陽菜が中2の時、一緒に図書委員してたんだって。仲良いみたいだよ」
「へえ」
斎藤が相づちを打つ。
「本の貸し借りしたり、色んな話したりしてたみたい」
「マジ?」
思わず、オレはテーブルに突っ伏した。
「オレ、ぜんぜん、知らなかった……」
「わたしもだよ。
図書委員になっちゃってさ、たまたま羽鳥先輩と話した時、陽菜の話が出たんだよね。
図書委員は牧村さんだと思ってたって」
なんだよ、それ。
図書委員は牧村さんだと思ってた、って。
「それで、志穂。本とか預かってきたんだ……」
「そうそう」
そこで、斎藤が大きな爆弾を落とした。
「なるほど。
だから、わたしが悪い、なのか!」
その瞬間、またオレの時間は止まった。



