思わず、言ってから、
しまった!!!
と後悔した。
陽菜の表情が、一気に曇ったから。
曇ったと言うか、今にも泣き出しそうで……。
こんなところで、言うんじゃなかった!!!
せめて、2人きりのときにするんだった。
だけど、梨乃も亜矢も悪い子じゃない。
一度、口にしてしまったことは、なかったことにはできない。
だから、
「あー。えーっと。わたしで良かったら、いつでも、話聞くし」
と、言うしかなかった。
ちょうど、隣に座っていたから、陽菜の肩をそっと抱き寄せて、
「話すだけでも、楽になること、あるよ?」
と、陽菜の耳元でささやいた。
それを見て、
「ひゅーひゅー。志穂ちゃんってば、男前~!」
梨乃が明るくからかう。
一瞬さした影を払うように。
「わたしも、いつでも聞くよん」
亜矢もほおづえを付いて、にっこりと陽菜に笑いかけた。
陽菜は、驚いたように、
「ありがとう」
と言った。
今は、これでいい。
また、改めて話をしよう。
今度は、2人きりのときに。



