12年目の恋物語


だけど、一体、わたしに何ができるんだろう?



そう思っていたところに、叶太くんからの相談。



渡りに船!!

思わず、ほくそ笑んだ。



……けど、けっきょく、わたしにだって、何がどうなっているかなんて、わからないんだ。

そして、今日も、陽菜は、ニコニコしながら、ほとんどお弁当には手を付けない。



聞いてみようか?

だけど、いったい、なんて?



思い悩んでいたら、



「……たの?」



と、目の前に大きな黒い目!!



「ぅっ、わっ!!」

「あ、ごめんね」



陽菜だった。



び、びっくりしたぁ!!!



心臓がバクバク言ってる。

そんなわたしを見て、梨乃が笑う。



「なに考えてたの?」

「珍しいね、志穂がご飯中に考えごとなんて」



亜矢も笑う。

陽菜だけが、申し訳なさそうな顔でわたしを見る。



「驚かせちゃった? ごめんね」

「いい、いい」



まさか、ここで陽菜と叶太くんのことを考えてた、なんて言えないよね。

でも……、これくらいなら。



「ねえ、陽菜」

「ん? なあに?」

「痩せた?」



と、陽菜の腕を取る。



「え?」



わたしの突然の行動に、梨乃と亜矢も一気に注目。



「最近、あんまり、食欲ないみたいだし」



陽菜が大きな目を何度も瞬かせた。



「なにか、悩みごとでもある?」