12年目の恋物語


振り切るように置いてきたカナ。

置き去りにされたカナの、傷ついたような目。

わたしたちを包む、重い空気。

人通りの少ない裏口への廊下に、虚しく響く、2つの足音。



何度となく繰り返される、

カナから離れなくちゃ、

カナを自由にしてあげなくちゃ、

と言う想い。




こんなに好きなのに。

こんなに好きなのに。

こんなに好きなのに。




カナと離れなくちゃ、いけない。



がんばっても、がんばっても、届かない。



カナは優しいから。

カナは責任感が強いから。



今まで、わたしが、甘えすぎていたから……。