放課後、また、図書館を口実に、カナを置いてきた。



だけど、図書館で本を探す気にもなれず、そのまま、裏手に回った。



羽鳥先輩に教えてもらった図書館裏のベンチに座り、しとしとと降りしきる雨を眺める。



雨は降っているけど、ベンチは広い軒の下に置かれているから、今日のような静かな雨なら、濡れることはない。



いつもなら綺麗な木漏れ日が見える時間。

だけど、今日は雨で、薄暗くて、まるで、憂鬱なわたしの心を映しているかのよう。



「ハルちゃん」



名前を呼ばれて、声のした方に目を向けると、羽鳥先輩が立っていた。