しまった。



オレの台詞に、表情をなくした牧村を見て、すぐに後悔した。

そんなことを聞くつもりはなかった。



のに、つい。



「ごめん!」



覆水盆に返らず。

言った言葉は、どうやっても取り返せない。

だけど、謝ることならできる。

後悔は持ち越さない。



オレは自らの主義に従って、素直に謝った。



「オレが口を挟むようなことじゃ、ないよな」



牧村は、小さく左右に首を振った。



今にも泣き出しそうに表情に、罪悪感が募る。



「本当に、ごめん!」



オレが再度謝ると、牧村は授業中の静かな教室でもなきゃ、聞き逃しそうな小さな声で言った。



「……わたしが、悪いんだし」



わたしが悪い?

……なんで?



もしかして、オレは、馬鹿なんだろうか?



どう考えても、牧村の台詞の意図を読むことが、できなかった。