12年目の恋物語


大声で名前を呼ばれ、何度も、意識が浮上する。



その度に襲い来るとてつもない苦痛。



自分は死ぬのだと思った。



このまま、息ができなくて、死んでしまうんだと。



助けて、ママ。



ごめんなさい。

ごめんなさい。

ごめんなさい。



言うこと聞かなくて、ごめんなさい。



苦しい。

息ができない。






次に目を開けたときに見たのは、ママとパパの顔。



赤い目、ポロポロとこぼれ落ちる涙。



後にも先にも、ママの涙を見たのは、あのときだけだった。



ごめんね。

心配しないで、ママ。

はるなは大丈夫だから。



何の根拠もなく、そう思い、わたしの意識は、また途切れた。