「ハルちゃんね、死にかけたんだよ」
「一時間遅かったら、危なかったって」
「知らなかったの? ハルちゃん、心臓が悪いんだよ」
羽鳥先輩の言葉が、頭の中で渦を巻く。
当然のように、バスケの練習なんて身に入るはずもなくて、先輩には何回も怒鳴られた。
遅刻して行って、上の空。
最悪だ。
サボって帰った方がよかったんじゃないかと、思うくらいだった。
練習中も、帰り道も、羽鳥先輩に告げられた言葉が頭を離れなかった。
家に帰ってからも、上の空でご飯を食べて、お風呂に入った。
頭の中では、色んな想いがぐるぐる回り続けていた。
叶太くんが好きだった。
いつからかなんて、覚えていない。
たぶん、初等部の高学年の頃から、なんとなく、少しずつ……。



