12年目の恋物語



「ハルちゃんね、死にかけたんだよ」



「一時間遅かったら、危なかったって」



「知らなかったの? ハルちゃん、心臓が悪いんだよ」



羽鳥先輩の言葉が、頭の中で渦を巻く。



当然のように、バスケの練習なんて身に入るはずもなくて、先輩には何回も怒鳴られた。

遅刻して行って、上の空。

最悪だ。

サボって帰った方がよかったんじゃないかと、思うくらいだった。



練習中も、帰り道も、羽鳥先輩に告げられた言葉が頭を離れなかった。



家に帰ってからも、上の空でご飯を食べて、お風呂に入った。



頭の中では、色んな想いがぐるぐる回り続けていた。



叶太くんが好きだった。



いつからかなんて、覚えていない。

たぶん、初等部の高学年の頃から、なんとなく、少しずつ……。