洗いざらい吐かされ、散々、からかわれ、ようやく兄貴から解放された。



顔がほてってる気がする。



だけど、兄貴には大感謝だ。

それから、羽鳥先輩にも。



今、オレの前には、羽鳥先輩から渡されたレターセットが置かれている。

どう書けば、うまく伝わるのか分からない。



だけど、オレがハルを好きになった瞬間、ハルもそこにいたわけで、

オレがハルを好きだと全身で表していた時も、ハルはそこにいたわけで、

オレが語る言葉が、本当かどうか、ハルならきっと分かってくれると、

信じたい。



オレは、シャーペンを握りしめたまま、祈るように手を合わせ、

それから、ハルが好きな若草色の便せんに文字を書き始めた。



  ◆   ◆   ◆



ハル。


ハルと出会ってから、丸11年が経ち、12年目がはじまったね。


オレがハルと出会ったのは、オレたちが4歳のとき。


ハルんちは、ハルの入園に合わせて、牧村のじいちゃんちの裏に家を建てて、引っ越してきて、だけど、隣の家なのに、ハルと初めて会ったのは、幼稚園でだった。


小さなハルが年中さんの部屋にいるのを見て、ピカピカの名札と制服を見て、オレ、年少さんの新入園児だと思って、うっかり、ハルの手を引いて、年少さんの部屋に送っていった。


覚えてるかな?


小さくて可愛いなってのが、最初の印象。


それから、オレはハルと一緒に遊びたくて、いっぱい、ちょっかいかけたよね。ハルはいつもニコニコして、楽しそうだった。


だから、オレ、5月の運動会の練習してたとき、ハルと一緒に走りたくて、ハルを誘ってしまった。