「じゃあ、明日までに、書いてくること」
「……はい」
「放課後、ここでいいかな?」
「え?」
「添削するから」
「添削っ!?」
先輩の動きが止まる。
「あの……よろしく、お願いします」
オレは慌てて、頭を下げた。
先輩は満足そうにうなずき、それから、スッと立ち上がった。
「じゃ、明日」
「あ。先輩! レターセット、忘れてます!」
指さすと、先輩は面白そうに笑った。
「一冊じゃ、足りないだろ?」
……どんだけ、書かせる気だ!!
「そうだな。最低、10枚くらいは欲しいかな?」
10枚っ!!!
「……10枚以上ですね。了解しました」
大きめの字で書けば、なんとか……。
できるか!?
オレ、作文は、ハッキリ言って、苦手だぞ!?
「あたりまえだけど、字の大きさは適切にね。
小学生じゃないんだから」
……ですよね。
先輩はポケットから500円玉を出すと、テーブルに置いた。
「じゃ、明日」
「え! ここ、出しますから! ってか、この代金も」
とレターセットを指す。
一冊なら、そんな値の張るものでもないけど、何しろ十冊!!
「気にすることはない。……そうだな、コーヒー代のかわりに取っておいて」
つり合わないから!
慌てて値段を見ると、一冊がコーヒー代くらいする。
とオレがあたふたしている間に、先輩は、500円玉を取り上げ、ポケットに入れると、そのまま、
「じゃ、明日。楽しみにしてるよ」
と軽く手を挙げ、出て行ってしまった。



