12年目の恋物語


「ハルッ!!」



……良かった。



ハルの背が苦しそうに揺れていた。



うまく呼吸ができていない。



顔色は青白いを通り越して、土気色で……。



なのに、良かった、と思っていた。



……生きてた。



間に合った!!



「斎藤! 救急車! 呼んで!!」



「え?」



「保健室、すぐそこだから! 先生に言って」



「分かった!!」



斎藤が駆け出した。



「ハル! ハル!」



ハルの肩に手をかける。



「ハル!」



ハルの手から、ポロリと携帯が落ちた。



その画面に自分の名前を見つけて、オレは、

気がついたら、叫んでいた。



「ハル!! なんで電話しないんだよ!!」



意識のないハルに向かって、叫んでいた。



「なんで、もっと早くに、呼ばなかったんだよ!!」