12年目の恋物語


オレは、そのまま駆けだした。

斎藤がオレのすぐ後ろについてくる。

階段は二段飛ばしで駆け下りる。



途中で先生にすれ違って、



「こら! 廊下を走るな!」



って言われたけど、オレは、



「すみません!!」



って叫んで、そのまま通り過ぎた。



反省文くらい、後で何百枚でも書いてやる。



もし、オレの思い過ごしなら、

その方が、100倍いい!!



息が切れる。

オレたちの教室から、保健室はけっこう遠いんだ。



重いドアを開けて、校舎から飛び出して、



「ハル!」



って呼んで、



ぐるりと辺りを見回すと、



探すまでもなく、ハルがそこにいた。



校舎の壁のすぐ横で、うつ伏せに、倒れていた。





「ハル!!!」





全身に鳥肌が立った。



すぐに駆け寄りたかったのに、一瞬、足がすくんだ。



「広瀬!」



斎藤の声で、ようやく我に返って、オレは、ハルの元に駆け寄った。