田尻が一瞬、怯んだような顔をした。
ダメだ。
胸騒ぎがするんだ。
一刻も早く、ハルのところに行きたいんだ。
それなら、コイツを怒らせちゃ、ダメだ。
まだ、何があったのかなんて、分からないんだから。
ただ、おしゃべりしただけかも知れない。
用事があって、話していただけかもしれないんだから。
「ハルが、どこにいるか、教えてくれる?」
オレは努めて笑顔で、田尻に笑いかけた。
「あの……」
「会ってたんだよな?」
優しく、優しく、オレは笑顔をつくる。
「……う、うん」
ビンゴ!!
「ハルは、どこにいるのかな?」
「え、っと」
「渡さないといけないものがあって、探してるんだ。
なあ、斎藤」
そう言って、斎藤を振り返った。
何となく、斎藤に振った。
本当に、何となく、そうした方がいい気がして。
「そうなの?」
「ああ」
田尻は、どうしようかなと首を傾げた。
教えろよ。
教えたからって、おまえに何か悪いことがあるわけじゃ、ないだろ!?
オレはまた笑顔をつくる。
「教えてくれたら、オレ、探しに行くから、さ」
ようやく、田尻は口を開いた。
「保健室の手前のガラス戸から出たところの、校舎裏」
「中等部に続く雑木林の?」
「うん。でも、まだいるか分からないよ?」
「ああ。大丈夫。ありがとう!」



