自分の教室を出ると、オレはそのまま隣の教室を覗いた。
「え? どこ行くの?」
「ハルを連れ出した女子、体操服だったらしい」
「ああ。体育、合同だから」
「そう」
オレは、隣のクラスをグルリと見回す。
ダメだ。
分からない。
「ショートカットで運動部の女子って、誰か知ってる?」
「え?」
「ハルを連れ出したの、運動部のショートカットの女子だって。
身長は少し高い。そうだな、ハルが158だから、比べたんだとしたら、165センチくらい?」
「……分かるかよ」
見当たらない。
ダメだ、クラスも違うし、分からない。
「よう、叶太。どした? 誰か探してんの?」
どうしようかと思っていると、中等部で一緒だったヤツが声をかけてきた。
「俊、ちょうど良かった! 運動部でショートカットの女子って、誰かいない?」
「は?」
「運動部でショートカットの女子。身長は普通より高め。……あ。日焼けはあんまりしてない」
「……なんのこと?」
その時、斎藤がオレの肩をポンポンと叩いた。
「広瀬」
「ん?」
「あれ」
斎藤の視線の先を見ると、田尻が歩いていた。
みんなが着替え終わっている中、体操服を着て、右手に購買部で買ってきたらしいパンの入った袋を持っていた。



