教室に戻ると、一番に、志穂の姿を探した。
……いない。
志穂がいつも弁当を食べてる女子2人はいるけど、そこにハルの姿はなかった。
「なあ、ハル、来なかった?」
「ううん。保健室じゃないの?」
「いや、帰ったって言われて……」
「ここには、来てないよ」
「ありがと!」
そう言って、オレは斎藤の元に向かった。
オレがいないからか、バスケ部の男子と、弁当食べながらしゃべっているところだった。
「斎藤! ハル、戻って来た!?」
息を切らせてオレが言うと、斎藤は、首を振った。
「いや、来てないんじゃないか? ……保健室じゃなかったのか?」
斎藤は答えながら、教室を見回した。
「いなかった」
「いない?」
「なんか、運動部系の女子と一緒に帰ったって……」
「へえ。……誰?」
「分からない」
ハルが友だちと話してるんなら、別にいい。
ただ、あんなに調子が悪そうなハルが、教室にも戻らず、寄り道しているのが気になった。
それに、保健の先生が言っていた容姿の女子。
ハルが仲良くしてる子に、そんな子、いたか?
「斎藤、悪い、付き合って」
「ん?」
「……なんか、嫌な予感がして」
そう、あくまで予感。
ただ、オレは、この第六感のようなものを大事にしていて。
こういう感覚は、割と当たっていて……。
「おう。行くか」
斎藤は、弁当のふたを閉じると、スッと立ち上がり、オレの肩に手をかけた。



