ハル。

牧村陽菜、オレの幼なじみ。



隣の家に住んでいて、年中さんから高1の今まで、12年間同じクラス。



ハルは可愛い。

小さくて、華奢で、色白で、大きな目。

そして、ふわふわっとした柔らかそうな長い髪。

客観的に見ても、学年で1、2を争う可愛さだと思う。



だから、密かにハルに思いを寄せる男子は多い。

だけど、オレが好きなのは、そんな見た目ではない。

何より、穏やかで、優しくて、人の悪口など言ったことのない、心がとても綺麗な、そんなハルが好きだ。



ハルを守るのはオレだって決めている。



その役目を誰かに渡すなんてこと、考えたこともない。



オレが、一生、ハルを守るんだと決めて、もう丸11年になる。

保健委員はオレのものだ。

ハルの隣はオレの指定席。



……って、思っていたのに。



なぜか、ここ数日、ハルが冷たい。