ボクじゃ、ない。
……ボクじゃ、ない?
羽鳥先輩じゃ、ない。
ええええ~~~!!?
じゃ、誰よ!!
羽鳥先輩以外に、誰がいるって言うの!?
思わず頭を抱える。
これ以上、ヒントなんてないのに!!
疲れたような陽菜の笑顔が脳裏に浮かぶ。
保健室に行ってくるって言った時の青白い顔が思い浮かぶ。
すっかり細くなった手首。
ほとんど残ったまま、フタをされるお弁当。
「ハルの身体、たぶん、おまえらが思ってるより、ずっと悪いんだ」
叶太くんの声が聞こえた気がした。
ダメなのに!!
何とかしなくちゃ、ダメ、なのに!!
「あのときだって、ホント、心臓、何回も止まって、」
もたもたしてる時間なんて、ないかも知れないのに!!
ただでさえ体力がない陽菜が、
食べられなくて、あんなに痩せちゃって……。
いつまでも、こんなことしていたら……。
なんで、わたしには、こんなに力がないんだろう。
悔しくて、悔しくて……、
気がついたら、
うつむいて、
奥歯を噛みしめていたら、
ぽつりぽつりと、雨が降り出した。
雨だと思ったのに、空は青いままで。
それは、雨ではなくて。
わたしがこぼした涙だった。



